自由化とブロック化
1960年代における世界経済の大きな動向は、プロック化の台頭、自由化とブロック化の絡み合った発展として特徴づけられます。自由化とは、世界経済における商品と資本の交流の自由を実現することであり、これは第二次大戦後はGATTとIMFを中心として進められてきました。かかる無差別自由化を志向する世界市場は、経済力の圧倒的に優越したアメリカの支配を事実上合理化する体制ですが、50年代末からこのアメリカの支配体制にヒビが入り始め、60年代末になるとこの傾向はいよいよ明白となってきました。それはアメリカの相対的地位の低下とEECの発展、EECの成立に刺激されたEFTAやLAPTAなどの地域的ブロックの結成、南の開発途上国の団結による南北問題の登場、さらに東側内部にオける変化と東西貿易における自由化の進展などの動きに表れていました。これらの動きは相互に密接に関連しており、EECは小欧州6力国のブロックであるばがりでなく、アフリカの植民地であった国々を含むブロックであって、新植民地主義的経済統合の性格をもってます。ですがこのことは、EECに属するアフリカの国が、他の開発途上国とともに北の先進国を突きあげることを妨げません。その関係は流動的でした。さらにEECが世界市場におけるアメリカの支配に挑戦する一面をもっでいるからといって、両者は必ずしも対抗関係にあるのではありません。アメリカの資本はEECの内部にも根をおろしていました。その関係は複雑であり、しかもEECにみられるように、ブロック化の具体的形態である地域的経済統合は自由化の単なる反対物ではなく、ブロック内の自由化を撤底させると同時に、ブロックを通して自由化を推進します。自由化とブロック化の交錯する今日の状況は、先進国の世界市場再分割のための抗争と、それに対処する開発途上国の抵抗という動きが、東西両体制間の緊張関係と絡み合って進んでいることを意味しています。

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